カテーテルと呼ばれる医療用のチューブやガイドワイヤーを用いた血管内治療が盛んに行われるようになりました。低侵襲検査・治療のために、動く要素(マイクロアクチュエータ)やマイクロセンサ、小型治療器具を内視鏡やカテーテル、ガイドワイヤーに集積化し多機能化する研究を行っています。これにはマイクロ・ナノマシン技術が用いられます。これらデバイスは血管以外にも体内の様々な場所で使うことができ、今まで不可能だった検査・治療が可能になると期待されます。
カテーテルおよびガイドワイヤー先端にマイクロアクチュエータを搭載し,先端を能動的に動けるようにし,その動作を体外から自在にコントロールできる能動カテーテルおよび能動ガイドワイヤーを開発しています。能動機構のためのマイクロアクチュエータとしてTiNi系形状記憶合金(SMA; Shape Memory Alloy)コイル、またはカテーテル内に満たした液体を体外から吸飲することで屈曲をコントロールするしくみを利用しています。
カテーテル操作の概念図 (作: 峯田画伯)
形状記憶合金コイルを3本のばした状態でステンレススチールコイルの中に固定したもので、外部からの通電量に応じて形状記憶効果により様々な方向に屈曲します。
血管分岐部の選択など、体内での精密な位置決めに役立ちます。
試作したものは外径1.6mm、駆動部長さ19mmで、電流量90mAで、約45°屈曲します。
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開発担当者:
現在 芳賀 洋一
参考文献:形状記憶合金コイルを用いた細径能動カテーテル
電気学会論文誌E, 120巻 11号 (2000), p509-514
芳賀洋一、江刺正喜
形状記憶合金アクチュエータを用いた能動屈曲型イレウスチューブ
腸閉塞(イレウス)治療において、非手術的治療法の一つとしてイレウスチューブ(long tube)を用いた腸管内減圧法が広く普及しています。しかし、このチューブを腸管内に挿入する際に、胃の幽門部を通過させることが難しく、術者や患者にとって負担が大きい場合があります。幽門通過の手段として、内視鏡を利用する方法、ガイドワイヤーを利用する方法、チューブ先端に錘を組込みその重さを利用する方法等がありますが、さらに容易にする手法が求められています。そこで、チューブ先端に形状記憶合金(以下SMA)コイルを用いた能動屈曲機構を付加し、幽門通過を容易にする新しいイレウスチューブの開発を行っています。

イレウスチューブの挿入 胃幽門部(胃の出口)とイレウスチューブ

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歴代主開発担当者:
2002年〜2004年 水島 昌徳(研究員)
現在 芳賀 洋一
参考文献:
形状記憶合金を用いた腸閉塞治療用能動屈曲チューブ
水島 昌徳、芳賀 洋一、戸津 健太郎、江刺 正喜
第12回日本コンピュータ外科学会大会・第13回コンピュータ支援画像診断学会大会合同論文集p109-110
2003年度日本コンピュータ外科学会講演論文賞受賞(2004年3月30日)、受賞内容:形状記憶合金を用いた腸閉塞治療用能動屈曲チューブ
体内の奥深くに進入して見回し観察を行い必要に応じチューブの内腔を経由して治療を行うことを目指し、SMAを用いた屈曲機構先端に電子内視鏡の機能を持たせた能動屈曲電子内視鏡を開発しています。先端には体内を照らす発光ダイオードと、体内を観察するための電子の目(CCDイメージャー)が搭載されており、ジョイスティックコントローラを用いることで体外から所望の屈曲方向と屈曲角度をコントロールし見回し観察などができます。
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外径4mmタイプの構造

フレキシブル円筒基板を用いたCCDイメージャーと周辺回路の実装

外径4mmタイプの屈曲動作と腸モデルを用いた撮像
歴代主開発担当者:牧志 渉、松永忠雄
参考文献:形状記憶合金を用いた能動屈曲電子内視鏡
電気学会論文誌E, 127巻 2号 (2007), pp. 75-81
牧志 渉, 松永忠雄, 江刺正喜, 芳賀洋一
形状記憶合金コイルをねじった状態でステンレススチールコイルの中に固定したもので、外部からの通電量に応じて形状記憶効果によりねじれ回転します。
カテーテル先端部を血管分岐部近くなどで精密に回転させるのに役立ちます。
試作したものは外径1.3mm、長さ7mmで、電流量80mAで、約70°ねじれ回転します。

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参考文献:屈曲、ねじれ、伸長能動カテーテルの電気めっきによる組み立て
電気学会論文誌E, 120巻, 11号 (2000), p515-520
芳賀洋一、江刺正喜
主開発担当者:芳賀洋一
図のようにレーザーにより微細加工されたNiTi製超弾性合金パイプの外側に薄肉のシリコーンゴムチューブを被せ、先端部のシリコーンゴムを突出させた構造になっています。屈曲操作は次の手順で行います。
@カテーテル内に生理食塩水を満たし、それを吸引することで、先端のシリコーンゴムチューブが弁となり閉じる。
A 吸引をさらに行うと内圧の低下により、シリコーンゴムチューブが内側に入り込み、カテーテルは写真のように下側へ屈曲する。
B吸引を解除することで元の状態に戻る。
なお、より曲がりやすくするためにリングとリングをつなぐビーム部はジグザグばね構造になっています。
中空構造のため内部にガイドワイヤーや造影剤を通すことができます。写真に示したカテーテルの外径は0.9mmで、駆動部長さ9mmにおいて、屈曲角度160°,曲率半径1.4mmでした。従来では挿入に苦労したり到達をあきらめていた部位、たとえば進行方向に対して鋭角に曲がった血管分岐などへも比較的容易に挿入することができると期待されます。

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歴代主開発担当者:
2002〜2003年 六鎗 雄太(修士課程)
現在 芳賀 洋一
参考文献:Development of Hydraulic Suction Type Active Catheter Using Super Elastic
Alloy Tube
PROCEEDINGS OF THE 20TH
SENSOR SYMPOSIUM on Sensors, Micromachines, and Applied Systems, (2003),
57〜60
Y.Muyari, Y.Haga, T.Mineta, M.Esashi