令和3年度 近代技術史学

 

技術史を学ぶことは,技術の原理と系譜,技術進化の必然性,社会と技術との関わり,試行錯誤の経緯と帰結,先人の成功と挫折などを理解することに繋がります。鉱山,記憶装置,通信装置,半導体集積回路など,身近な技術の発展の歴史を,また,一部については衰退の歴史も学びます。それぞれの技術史には,他の技術開発にも活かせる考え方や教訓が含まれ,それを受講者自身が考えることによって,各自の仕事や勉強に活かすことを本講義の眼目としています。

 

91日(水曜日)

午前 8:50〜 小坂鉱山物語(田中 秀治 教授) 講義資料

小坂町,秋田県最北に位置するこの町には,明治期の絢爛な洋館や回り舞台のある歌舞伎小屋がある。なぜ山間の町にそのようなものがあるのか。この謎を解き明かす物語は150年に渡る小坂鉱山の歴史である。かつて小坂には東洋一の銅山と秋田県第二の近代都市があった。時代の荒波をくぐり抜けてきた小坂鉱山は30年程前に閉山したが,今も金銀等を産出している。それはなぜか。栄枯盛衰の壮大な物語を聞き終えたとき,小坂が日本有数の企業群の濫觴となったこともわかるだろう。

午後 13:00〜 記録技術の歴史(戸津 健太郎 教授) 講義資料

マイクロシステム融合研究開発センター(西澤潤一記念研究センター内)の「近代技術史展示室」に展示してある歴史的機器に関連して,特に記録技術の歴史を同センターの戸津先生が講義します。それらの歴史的機器の原理が,現在の技術としてどのように活かされているかという視点でも解説します。

92日(木曜日)

午前 8:50〜 超音波・圧電デバイスの技術史(門田 道雄 シニアリサーチフェロー) 講義資料

超音波・圧電デバイスは,携帯電話やスマートフォンの中で周波数を選択するフィルタとして広く使われています。この技術は本学と関わりが深く,本学の技術なしに現在の携帯情報通信は成り立たないと言えます。門田先生は,本学の修士課程を修了後(その後,論文博士制度で学位を取得),村田製作所にて弾性波フィルタの技術を立ち上げ,同社のシェアを世界一にした立役者ですが,本講義ではその開発史を解説します。

午後 13:00〜 ファクシミリの技術史(小川 睦夫 非常勤講師 = リコーOBMOTT代表社員) 講義資料

リコーでファクシミリ事業の責任者をされていた小川さんによる講義です。ファクシミリの初期から成長期を経て成熟期に至るまで,実際に研究開発を担当された経験に基づく,他では聞けない系統的な講義です。国際標準化の視点からも興味深い講義になると思います。

93日(金曜日)

午前 8:50〜 都市の皮下記憶・仙台亜炭(伊達 伸明 非常勤講師 = 京都芸術大学・教授) 講義資料

石炭の代替燃料として近隣の山から自前で調達され,特に戦中戦後のモノのない時代の暮らしを支えた「仙台亜炭」。採掘の痕跡は宅地開発等でほぼ消滅しましたが,わずかに残る山野の痕跡をたどると,おぼろげながらも往時の様子が浮かび上がります。2012年に予備知識ゼロから始まったリサーチの経緯と明滅を続けつつも次第に遠のく「都市の皮下記憶」を紹介します。

午後 13:00〜 集積回路の技術史(湯之上 隆 非常勤講師 = 半導体評論家・ジャーナリスト) 講義資料

半導体評論家として活躍されている湯之上さんによる半導体集積回路の技術史の講義です。特に,かつて世界一を誇った我が国の半導体産業が,どのように,また,どうして苦境に陥ることになったのか,半導体技術者としての自らの経験も踏まえ,技術,経営,戦略などの多面的な観点から詳しく解説します。また,今後,我が国の産業がどうしたらよいのかを各自が考える材料も提供されます。さらに,IoT-AI時代を迎えて半導体産業がどのように変遷するのか,なぜ2018年に半導体メモリバブルが起き,2019年に大不況に突入したのか,なぜ2021年に入って世界的に半導体が供給不足に陥ったのかなど,今後,不況から脱することができるかなど,最新の話題も提供される予定です。

 

※一般の方の受講もできます。受講をご希望される方は公開講座のウェブサイトをご覧頂くか,下の連絡先に問合せ下さい。

※本講義は3日間を通じて日本語で行われます。

 

オンライン講義:講義室(Microsoft Teams)のURLと講義資料の閲覧パスワードは,学内生にはGoogle Classroom(クラスコード sk23r3r)を通じて,一般受講者には電子メールでお知らせします。

時間:午前 8:5010:20 10:3012:00

午後 13:0014:30 14:4016:10 (16:2017:30

連絡先:田中()研究室 相原 友子 022-795-6934 aihara@tohoku.ac.jp